新宿区「孤独死」シンポジウムの概要

シンポジウム 高齢者の孤独死を考える
10月28日(土) 14:00~16:00
コーディネーター:岩田正美日本女子大学教授
パネリスト:松戸市常盤平団地自治会長 中沢卓実氏
      新宿区戸山団地自治会副会長 山内松枝氏
      新宿ヒロクリニック 英裕雄氏
      新宿区民生委員 古屋正義氏
      新宿区福祉部生活福祉課長 井下典男氏

(1)新宿区の高齢者の孤独死対策<基本的考え方>
・区では高齢者サービス課内に孤独死対策チームを設置、全庁的な孤独死対策検討会を設置。
・孤独死には明確な定義なし。区としては孤独死対策を講ずべき対象者を「2週間毎程度に見守る者がいない、独居又は高齢者のみ世帯の高齢者」と規定。
・区内では年間約60~70人。(生活福祉課把握)
・家族や近隣との人間関係を日常生活でもてない・持とうとしない区民が多くなっている。特に集合住宅、高齢化の進む都営住宅においてリスクが高い。
  *各団地でも交流の場を設けているが、参加しない人がいる。これにどう対応するか。
・このような高齢者に対し何らかの形で見守りネットワークに入ることを促進。また地域の力による見守りを強めることが基本。
<生活保護受給の独居高齢者の状況>
○統計データ
  独居高齢者 17,237世帯・人[平成17年国勢調査]
  生活保護受給単身高齢者 3,018人[H18.7.3]
○孤独死の状況(H18.4月~9月)
  孤独死件数:21件
  死亡原因:  虚血性心不全  6件
         病死の疑い   8件
         肝障害・腎不全 4件
         その他     3件
  第1発見者: 家主・病院関係者 9件
         警察       5件
         地区担当員(CW)  3件
         新聞配達員    1件
         ヘルパー     1件
         元同居人     1件
         家族       1件
  年齢: 70歳以上  8件
      65~69歳 5件
      65歳未満  8件
  性別: 男性 17件
      女性  4件(40歳、53歳、69歳、77歳)
<福祉事務所の孤独死対策見守り支援の取り組み>
・高齢独居世帯の実態調査を行い現状を把握。
・65歳以上の単身独居世帯で入院・入所施設に入所していない者、介護サービスなどの他のサービスを受けていない者について見守り台帳を作成。
・介護サービスなどの公的サービス、就労、医療機関、民生委員、町会・自治会、親族、隣人、友人といった点で、本人がどういう結びつきをもっているか、またどのような結びつきを望んでいるのかを個別に調査し把握。
・安否確認につながる高齢者向けサービスと見守り活動を関係課で実施。
 ①配食サービス(月~金希望日の昼食)
 ②寝具乾燥消毒サービス
 ③緊急通報システム
 ④地域見守り協力員事業(地域のボランティアが月2回程度安否確認)
 ⑤高齢者クラブ友愛活動
 ⑥ごみの訪問収集安否確認モデル事業(戸山団地でごみの訪問収集)
 ⑦高齢者単身世帯見守り事業(生活保護受給者対象)
 ⑧悪質商法被害防止支援シールの配布

(2)常磐平団地の取り組み
・住民主導型の対策が必要。
  *住民が中心となることが大事。
  *自治会が率先すること。
    区役所任せはお門違い。阪神淡路震災では行政任せだったのではないか。
    予算で苦労している。
    自治会なら予算は関係なし。人海戦術で対応できる。
・地域福祉は下から上げていくこと。あなた任せにはできない。
・孤独死は地域福祉の重要な問題。
  いらない人に限ってプライバシー云々と言う。
  死んだときにはプライバシーどころではない。どれだけ後の人が迷惑するか。
  自治会ではカギ屋、新聞屋とも協定を結んだ。
・どう死ぬかは生き方の問題。自分たちの問題である。
・孤独死の73%は男性。自分のことが自分でできない。生きるためにこの問題にどう取り組むか。

(3)戸山団地の状況
・戸山団地はS24~都営住宅。1~48号棟。
・入居に所得制限があり、子供達が出ていった。
・建物が老朽化したことで8年間かけて建て替え。高層化。
・これにより今までの近所づきあいが大きく変わる。高層化して人影がなくなった。お隣同士でも行きづらくなる。
・まず声かけ運動からということで、こうやったらこうなったというものはないが、人とのつながりができてきた。
・緊急用名簿を作成。いざというときに誰に連絡すればいいか。高齢者にお話しすると、話はわかっても自分はいいですということが多いが、段々増えてきた。
・一番大事なのは人とのつながり。近所同士の目。
・都営住宅は単身の人は1DKとなっている。事情を聞いて幅をもって考えてほしい。

(4)民生委員の立場から
・高齢者のプライバシーに立ち入る難しさがある。
・戸山団地は昭和40年代に建て替えられた。
・高齢者に古希・喜寿・米寿のお祝い金を届ける業務があるが、ある家庭で7回訪問したが出て来ず、大家・警察の支援を得て立ち入ったら床に伏せっているのを発見。直ちに入院。
・サロンづくりを展開。
・高齢者の健康づくり講習会を実施。引きこもっている人を引き出す場所づくり。
・友愛運動。

(5)地域医療に関わる立場から
・医療者が関わっていないのが孤独死。
・孤独死になる前に呼んでもらったケースがある。
・在宅ケアは力量がいる。
 単独独居で在宅ケアできるのは600ケース中数人のみ。
  〔条件〕・強い意志
      ・独居を阻止しない親族
      ・介護スタッフに恵まれること
・8年前のケース
  ヘルパーから食事を食べなくなったと報告あり。
  古い家でゴミも多くネズミも出る。
  102歳の人で認知症なし。
  1週間後に療養病院に入院。
・従来医療がかなり抱えていた部分があり、医療機関へ行くことは外出の機会でもあった。医療制度改革によりこれから孤独死が増えるのではないかと危惧。

(6)フロアから
○自治会がしっかりしている所はいいが、住民登録をしていない人もいる。生活資金を食いつぶした人がいる。区で把握できていない人の支援は難しい。どうやれば助けることができるか。
  → 大都会で通過する人もいる土地柄。地域福祉はそういう人もいるということを再確認することから始めるべきか。
○高齢者の孤独死は防災・防犯すべてに関わる。地域のコミュニティ力が壊れてきているのではないか。自治会のなり手がいなくなっている。どうやってコミュニティとして作っていくかを考えねばならない。都営住宅でも全体の年齢構成・世帯構成のバランスのとれた入居を考えていかねばならないのではないか。各自治会で努力してやっていることと区の連携が必要。
  → 日本中の団地でも起きている問題。

(7)まとめ
・孤独死は地域と死の問題。死をどう受け止めるか。
・自立して拒むというより病気で、とか社会参加を拒まれてきたなどがある。生きる気力とも結びつく。
・地域が死を引き受けるとすれば、都会型のやり方を模索するしかないのではないか。田舎のようなコミュニティはできない。

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